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2008年09月28日

驚きの沢田研二さん~メッセージソングに込める思い~

私は、まったく知らなかった。ただ、居間のほうからNHKの放送「SONGS」が流れていて、「あ、60歳の沢田研二やん」と一瞬目に留めただけだったのに・・・・

私は、確かに昔のジュリーは知っている。そして、TVの画面から見つけられなくなってからどんな歌をうたっていたかなんて、まったく意に介していなかった。ところが、村野瀬さんのブログ「村野瀬玲奈の秘書課広報室」のエントリーで見つけたタイトルにひきつけられた。

ボリス・ヴィアン「脱走兵」と沢田研二「我が窮状」 

ちょうど、NHKで歌っていた曲がこの曲だったのだ。
この「窮状」は、「九条」とダブルミーニングになっている。多くのブログで話題になり、「九条」のテーマソングにとの声もある。

カナダde日本語 「沢田研二の『我が窮状』を広げて九条を守ろうよ

どこへ行く、日本。 「<映像で伝える熱唱>沢田研二 「我が窮状」【NHK総合 SONGSから】 」
このブログからYOU TUBEで公開されていることを知った。

「我が窮状」/作詞:沢田 研二,作曲:大野 克夫

麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが
忌まわしい時代に 遡るのは 賢明じゃない
英霊の涙に変えて授かった宝だ
この窮状 救うために 声なき声よ集え
我が窮状 守りきれたら 残す未来輝くよ

麗しの国 日本の核が 歯車を狂わせたんだ
老いたるは無力を気骨に変えて 礎石となろうぜ
諦めは取り返せない 過ちを招くだけ
この窮状 救いたいよ 声に集め歌おう
我が窮状 守れないなら 真の平和ありえない

この窮状 救えるのは静かに通る言葉
我が窮状 守りきりたい 許し合い 信じよう

このYOU TUBEのリンクは、こちら 
http://jp.youtube.com/watch?v=us35rNnGmE0

驚くべきは、最近急にこのような歌をうたい始めたのではなく、ずっとまえからだという。まったく知らなかった。そして、沢田さんの歌うもう1つの曲「脱走兵」が村野瀬さんのブログで紹介されておりこれまた、曲を聴いたら別のバージョンを知っていた。

「脱走兵」という曲は、作詞がボリス・ヴィアン、作曲がハロルド・ベルクで、1954年のものであると、村野瀬さんは紹介している。(YOU TUBEで聴ける)

この詩は、日本でも他の人に歌われていることも知った。

幻泉館 「おなじみの短い手紙」によると

高石友也さんの「拝啓大統領殿」
ザ・フォーク・クルセダーズの「大統領様」

大統領様 Le Deserteur

詞 Boris Paul Vian 曲 Harold Bernard Berg
訳詞 高石ともや

大統領殿 お暇があれば
読んでほしい この手紙を
僕は今 戦場へ行く
徴兵カードをもらったところ
僕は逃げる 戦いたくない
哀れな人を殺したくない
大統領殿 腹を立てないで
聞いてほしい 僕は逃げる

父は昔戦争で死んだ
子供達は泣きじゃくってた
女手ひとつ苦労をしていた
母も今はお墓の中
爆弾をもてあそび
僕の心を奪っていった
旅に出よう 明日の朝にも
僕の住み慣れた家を後に

世界中のすべての兄弟
僕は行こう 言って歩こう
人生を大切にしなさい
僕らはみんな兄弟だ
血を流すならあなたの血を
猫っかぶりの偉いお方
僕は逃げる 武器は持っていない
憲兵達よ 撃つがいい
     撃つがいい

私が知っていたのは、詩のほうではなく、メロディーのほうだった。
それは、高田渡さんの歌った「おなじみの短い手紙」

こちらは、原曲がフランス曲とCDには書いてあったが、間違いなく曲は一緒。
詩は、ラングストン・ヒューズのものを乗せている。

「おなじみの短い手紙」詩:ラングストン・ヒューズ 訳:木島始

 昨日の朝 ぼくはみつけた
 郵便箱のなかの手紙
 ただの短いおなじみの手紙は
 一ページのながさにも足りなんだ

 あいつはぼくに 墓に入ったほうが
 死んだほうがいいと 内緒話
 裏をみた なにも書いてない
 ただの短い おなじみの手紙

 ただの鉛筆と 紙だけで
 ピストルやナイフは なにもいらない
 ただの短い おなじみの手紙が
 ぼくの命をとってしまう
 君の命をとってしまう
 
沢田研二さんの「脱走兵」は残念ながらまだ、聞いたことがない。
「沢田研二actシリーズCD大全集」 には、おさめられてるらしい。聴けるんかな?

投稿者 pianocraft : 22:39 | コメント (6) | トラックバック

2008年09月24日

ハービー・ハンコックのベスト盤

HH.jpg
THEN AND NOW 

ハービーのベストアルバムが9月に発売されたのを期に買って聞いてみた。
アルバムタイトルは、「ゼン&ナウ~ライフタイム・ベスト

処女航海から、最近のジョニ・ミッチェルの曲を演ったものまで。年代では、1962年から2007年のものの中から。
改めて聞くと、とてもソウルっぽい。ずっと流していたら気持ちいい。
ジョニ・ミッチェルの「リバー」も好きな曲だ。また、スティービー・ワンダーと共演している「セントルイス・ブルース」もとてもよく、スティービーの歌のセンス、自由自在にアドリブして高低動くヴォーカルは本当にうまい。

おりしも、秋は音楽も充実している。
NHK BShi では、東京ジャズもオンエアされていて、今日は上原ひろみちゃん、ミシェル・カミロなどのステージが放送される。昨日の東京ジャズの放送では、タップと共演していたソロのひろみちゃんも凄いが、今年のツアーのメンバーの演奏は、この11月のステージで聴くことができると思って楽しみにしている。

ライブも10月、11月は充実していて、押さえたチケットが来るのを楽しみにしてるところ。

自分の小さなライブも準備中。
さあ、涼しくなったし。いい感じだ。

投稿者 pianocraft : 21:53 | コメント (2) | トラックバック

2008年09月18日

BSで、映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」を観た

この映画が公開された時は、中学生で、多分始めてイエス・キリストの磔までの日々を知ったのだったと思う。中学生の時は映画が好きで、時々「スクリーン」誌を買って公開される映画を吟味したりしていた。

前売りを買ったりもよくしたが、今考えたらなんで、前売りだったんだろうか?当時は入れ替え制ではなく、途中入場できて一巡して、見始めたところまでみて出たりすることもあったし・・・。前売り券というのは、早く公開されるのを待つ楽しみだったのかな・・・。大概は、ひとりでふらっと見に行く中学生だった。

しかし、あたらめて(ちょっと用事もはさんだので、真剣に見てない部分もある。)観ると、70年代の臭いがぷんぷんして、ちょうどあこがれていたヒッピー文化が満載だった。音楽は、しかし素晴らしく覚えている曲も多い。そんな憧れもあってか、この映画は友人と観ていて、ジーザスごっこをして、映画のシーンを再現した写真をとったりして遊んだ記憶がある。

懐かしくもあり・・・。このイエス像は、とても弱々しい人間として描かれる。なので、聖書を学んでもスーパースターではあったであろうけれど、スーパーナチュラルな存在としてのイメージはしにくい感じはする。

でもおしゃれだったんだよね。あの頃、「ローリング・ストーン」誌の日本版があったりして買ったりしたし
政府を批判するロックの歌詞に惹かれたりと・・・あの辺から音楽に潜行してったのだった。

なので、懐かしさと、あっけなさと、いろいろ感じた映画でした。

投稿者 pianocraft : 22:57 | コメント (0) | トラックバック

2008年09月14日

ロシア版「12人の怒れる男」

12nin.jpg12人の怒れる男 公式HP

この作品は、リメイク版なのだが、オリジナルは、1957年アメリカでシドニー・ルメット監督のものだ。
私は、ちゃんとオリジナルを見ていないが、ストーリーの大筋は有名なので知ってはいた。
この映画を何故見たいと思ったかといえば、犯人として裁かれているのがチェチェンの少年だからだった。

ロシア的肉付けというのが、いかなるものなのかと思って七藝に向かったのだが・・・ちょうど着いたのが入れ替えの直後で、十三のロケーションをご存知の方はイメージできると思うけれど、あの派手派手の通りからサンポードビルに入ろうとするその時、エレベーターから降りてきた、映画鑑賞後の人達とすれ違った。一様に厳しい顔をしている。ちょっと身構えて映画の始まりを待った。

結果、重い作品だった。12人の陪審員の聞き逃せない言葉、象徴的なことばやもってまわった抽象的な一人ひとりの物語から浮かび出される人の内面が、迫ってくる。
チェチェンとロシアの問題、ロシアそのものの脱共産主義後も残る、設備の悪さや、政府への不満、それぞれの職業から導き出される洞察、あるいは安易さ。表面からは想像できない過去など、一人の命をめぐって、延々と話し合いは続く。

ロシアは、死刑を廃止した国だ。なので、裁かれている少年は「終身刑」になるかもしれないという状況だ。

少年が育ったチェチェンの現実はたぶん描かれるよりもっと厳しいものだろう。殺害された女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんの本で読む限りでは救いようのない暴力の応酬だった。
少年の生い立ちを知る映像が間にはさまれるが、チェチェンの村のシーンもその1つだ。民兵でない親のもとで育てられたが、村にやってきて休んでいる民兵に5歳ときから可愛がられ、カフカスの見事なダンスを少年と民兵たちが披露するシーンは躍動的で好きだ。
しかし、彼は両親を殺害され、ロシア軍の将校だった義父に育てられることとなる。

陪審員の中には、同じカフカス出身者もおれば、ユダヤ人もいる。民族的な偏見、職業差別などもお互いの中で露骨に表されることになる。
その中で、導き出される結果は、ロシア版独自のもの。

この映画は、長い。160分もある。だが、飽きさせることはなかった。
監督も陪審員2の役で出演しているが、どの俳優も素晴らしかった。
最後の評決は、希望もあるが、絶望もある。少し、判りづらい点がいくつかあって、できればもう一度は見て確認したいのだけど、無理かな。DVDになるまで待つか・・・

けれど、日本の裁判員制度には疑問がある。

大阪の公開は、第七藝術劇場
         シネマート心斎橋

投稿者 pianocraft : 20:41 | コメント (4) | トラックバック

2008年09月12日

手作り味噌

今年の冬に仕込んだ味噌を初めて、食べてみた。なかなか感動モノである。
時に応じておおざっぱなわたくしは、大豆を機械でなく手でつぶす段階で適当にやっていたので、粒が残り、豆の姿も見かける味噌となった。

じかになめてみて、塩っパイと感じたらもう少し、熟成させるとあったので、我慢して夏をすごした。
やはりなめると塩が少し強いようにも感じたが、味噌汁にしてみるとちょうど良い味になっていた。

発酵の力は凄いな!とつくづく思う。、
単に煮た豆なら、すぐ腐るのに、塩と麹のお陰で熟成する。
自家製のまっこりを作るときも同じ。乳酸菌と麹のお陰で、ごはんが酒になる。
普通常温でおいとくと、ごはんは腐るだけなのに、フレッシュな濁り酒になるなんて不思議な出会い。

みそをつかって、涼しくなったらいろんなメニューを考えよう。そして、次の冬にまた仕込むと、味噌を買うことなく自家製でずっとやっていけそうだ。仕込みは簡単。あとは、ほっとくだけ。
なんてすてきなずぼらで美味しい食品なんだろう。

最近、新聞広告でぬかづけのセットをよくみかける。もう、出来てるぬかをお手入れして長持ちさせるだけというやつ。でも・・1からやってみたいような気もするな。

楽しみが増えて幸せ。
なんといっても、手前味噌!

投稿者 pianocraft : 23:24 | コメント (2) | トラックバック

2008年09月05日

映画アメリカばんざい~戦争に行く前と後

十三の七藝で、「アメリカばんざい」を見てきた。
予告では丸刈りのブートキャンプの若者たちの姿があったので、その辺を中心に取材されたものかと思ったがなんの、もっと深い問題に切り込んでいた。

この映画は、藤本幸久監督と、ジャーナリスト影山あさこさんの取材によって作られたドキュメンタリー映画だ。イラクに派兵される若者は貧困層であるということは、よく知られたことだが、本当に学費に困ったり、技術を身に付けられると思い、志願した若者に帰還後待っているのは、PTSD、無職、ホームレスだった。2回目の派兵を拒否し、軍法会議にかけられた後は保証もなにもない。全て、失って、職も得られずホームレスになる。アメリカ全土のホームレス300万人のうち、3人に一人が帰還兵といわれている。

自分の国のために、人を殺し、自分も捨てられる。これが戦争であり、国であると、この映画が伝えることは、今も増え続けるイラクやアフガンの帰還兵によって証明されている。

この映画には帰還兵として、志願する若者を減らそうと運動する人がいる。また、おばあさんたちが、志願を勧誘するオフィスに立ちふさがり一人でもあきらめる運動を展開している。たとえ、逮捕されてもめげない。

たとえ、彼らが酷い状態で、アメリカから冷遇されていても、イラクやアフガンではその兵士の標的になり命をいつ奪われるか判らない市民がうんといるということも、忘れてはいけない。
シンディ・シーハンさんも登場したが、彼女ら戦争で子供を失った母たちは、アメリカの兵士の死者4080人に対して、イラクでは15万人が死んでいることも知っている。こんなばかげたことが、いち早くやめられることを心から思う。

やっぱり、国は国民を守らない。
自分の子供を「殺人にNOを言わない人形」にブートキャンプでしてはいけない。
日本が、これに加担していること忘れてはいけない。他人事ではない、自らの手を使って殺していないだけなのだから。

投稿者 pianocraft : 21:21 | コメント (4) | トラックバック