「dear hiroshima ワンピースの写真が北米市民に投げかけた波紋」をみた

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石内都さんの写真集「ひろしま」

2008年。石内さんのこの写真展に行かれた、ブログで繋がった方の記事を読んでどうしても、写真が見たくてこの本を買った。

今年、67年経った敗戦の八月。NHK BSでカナダで開かれた「ひろしま」写真展のドキュメンタリーが放送された。
写真展は、カナダ、バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学人類学博物館(MOA)で開催。この博物館は、展示されているカナダの先住民の巨大なトーテムポールの大きさに合わせて建築されており、数多くの先住民の収蔵品をもつという。アイヌの文化ととても似ている。自然の生き物が神の使い。「ひろしま」の写真たちは、ここで神々に癒されたのかもしれない。石内都さんと共に、世界を旅して欲しいと思う。

どんな人にも、この写真に触れてもらいたいと感じる。
本当に美しい色やデザインの被曝遺品のワンピースや、スカート。戦争が日本の降伏で終わろうとしてたあの夏。重苦しく、華美を諦めていた暑い夏。女性たちがこんな鮮やかなワンピースを着てたなんて、知らなかった。今回の放送で、広島平和祈念資料館の学芸員の方が言っていたが、女性たちは華美な装いが禁じられていたので、地味な着物の下に着ていたという。
丁寧に手縫いされた、可愛い柄の生地。

これを着ていたひとの姿が容易に想像できる。今までに無い、感覚。
生きた人がそこに居た。石内さんは、今まで広島の写真はモノクロばっかりだった。本当は、色があるのが当たり前なのだ。と語る。
鮮明になる。人の生きた証。このような遺品は、資料館に展示はされていないが収蔵されており、毎年増えるという。亡くなったヒバクシャの遺族が持ってくるから。

この放送でしらなかったことが他にもあった。
カナダは、アメリカと共にマンハッタン計画をすすめ、その開発はカナダのウランが使用された。その目的を知らないまま、採掘に従事させられたのはカナダの先住民(ナ・デネ族)だった。先住民の人たちは、そのことに深い罪の気持ちをもっていて、1998年彼らは広島と長崎に謝罪した。原爆に関して謝罪は彼らだけ。

でも、ウラン採掘も被曝する。今も、カナダやオーストラリアの先住民たちは、採掘のために被曝し続けている。原発を動かすウランは、一番初めからヒバクシャを生み出す仕組みなのだ。

この写真集と出会った2008年から変わったこと。新たな被曝が日本を襲ったこと。
ヒバクシャがまた増えたこと。

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