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2004年10月13日

Blues Piano

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ゴスペルを通じた友人から念願のWOWOWオンエアのみのクリントイーストウッド監督の”PIANO BLUES"のDVD録画をもらい、感涙!泣けてくるさ!この中にあるのは、ピアノがブルースのためにあるとでも思わせるような、技巧であり、グルーブであり、88の鍵盤がいかに饒舌かということの証明でもあった。

この友人とは、先日のオスカーピーターソン公演(オープニングアクト上原ひろみ)に行っている。実物のオスカーピーターソンはもう、80にもなる高齢で、さすがに技巧派のきらびやかさからは遠ざかっていたものの、バラードではいつも好んで演奏するというベーゼンドルファーに向い、実に叙情的な、こころに響く演奏を聞かせてくれた。その一曲は「レクイエム」というタイトルで、先日亡くなったレイチャールズやレイブラウン(その他の名前も言ったけど聞き取れなかった)、の追悼のための曲であった。

このオスカー・ピーターソンも映画の中では元気にバリバリバリバリ弾きまくっている。亡きレイ・チャールズもイーストウッド本人からのロングインタビューで「That's right !]などと、合いの手をいれながら、いい顔しておしゃべりしていた。こんな、姿は、初めて目にする。

この映画には、わたしが初めて若い時にきいてブルースをコピーした、オーティス・スパンやニューオリンズのプロフェッサーロングヘアー・・・へろへろ声で歌う姿をこれまた初めて見た。大好きなDr.Jhon。そうそうファッツドミノのベースラインも一生懸命練習した。ナットキングコールがあんなにピアノが上手だとは知らなかったし、アンドレ・プレビンとオスカー・ピーターソンのデュエットピアノも良かった。

教会にはゴスペルがあったが、日常にはブルースがあふれていた。そんな昔の光景をいろんなピアニストが明かす。最初にレアなブルースを聞いたときの「違和感」を懐かしく思う。今は私のルーツミュージックの如くになっていて、長い間聞くのをわすれていたけど、久しぶりに映画の中から映像ともに流れ出るブルースを聴いて「ああ~これやんか!」と思ってしまった。こんな時が至福の時である。

オスカー・ピーターソンの公演の話に戻るが、オープニングの上原ひろみはやはりすごかった。ぐっちゃ~と不協和音がはいったり、むちゃくちゃ早弾きしたりするのは、若く元気でとてもよい。まるでギタリストのような早弾きをする。指がまわるまわる。わくわくするスリリングさでやはり、CDよりも好きになった。上原ひろみは、オスカー・ピーターソンが好きでジャズを始めている。

世界と世代をまたぎ、めぐる、ブルース。ジャズ。いつもその人のものであり、どこにもありそうでないサウンド。リズム。わたしはどうも、この種の音楽は腹や臓器にぐんと響くが、クラッシック曲は頭で上滑りする。それぞれ好みなのだけど、若い時にしびれたものは、永遠に自分に抗体反応を残していく。何かを刷り込んでしまうのだね。きっと。

投稿者 pianocraft : 2004年10月13日 00:14

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トラックバック時刻: 2004年12月16日 20:00

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トラックバック時刻: 2004年12月16日 22:27

コメント

以前からブルース嫌いじゃなかったけどこの2,3年は特にはまってきた者です。こちらの記事を見つけて読んで、動くOtis Spann や Prof. Longhair 見たい!でもPiano Blues, WOWOW 見てないし上映も無いのか、、、っと思っていたら今月たまたまケーブルTVのヒストリーチャンネルで「ブルース・ランド/ブルースの誕生」という番組があり今日初めてSpann の動く姿をちょっと見る事ができて左手ごりごりとブギっぽく弾いてる(私が知らないような)場面だったので嬉しびっくりしてるところです。Piano Blues もいつかぜひ見たいと思っています!また遊びに来ます。

投稿者 如月わかめ : 2004年12月19日 20:54

如月さん、コメントありがとうです。やっぱり、もう生で見れないブルースマンが多いですよね~。古い音楽だし。

私は、ノンクリスチャンのくせにゴスペルグループのメンバーです。
ブラックミュージックのルーツでレアな部分に触れたいと思い参加したのですが、ウチの講師が素晴らしく、その魅力がたまらないのです。

彼は、NYの黒人教会でハモンドオルガンを弾く、ブッチ・ヘイワード氏なのですが、彼のオリジナル曲を教えてくれて、その伴奏のブルージーでドライブすることといったら、鍵盤から目が離せず、張り付いている状態です。

それこそ、生でブルースを感じる幸せ。(ゴスペルなのですが、やはり私達にないものを感じます。)

投稿者 pianocraft : 2004年12月20日 15:00

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